ISaGRAF Ver.4未満で作ったプログラムをISaGRAF Ver.4/5用に移植する際に注意する項目は?


言語仕様、機能、コンバート時の手順等で以下のような点に注意してください。

言語仕様

ISaGRAF Ver.4/5では、廃止されたり名前が変更になった機能があるので注意が必要です。

廃止された命令・ファンクション類
    下記の命令、ファンクション、ファンクションブロック類はISaGRAF Ver.4/5ではサポートしていません。
    • TSTART(タイマ変数の起動)
    • TSTOP(タイマ変数の停止)
    • REDGE (立ち上がりエッジ検出)
    • FEDGE (立ち下がりエッジ検出)
    • SEMA(セマフォ)
    • ARCREATE(配列の作成)
    • ARREAD(配列の読み込み)
    • ARWRITE(配列への書込)
    • CAT(複数の文字列を1つに結合)
    • ファイル関連の全てのファンクション(F_ROPEN,F_WOPEN,
      F_CLOSE,F_EOF,FA_READ,FA_WRITE,FM_READ,FM_WRITE)
    • DAY_TIME(文字列で日時、曜日の取得)
    • OPERATE (I/Oチャネルへのアクセス)
    ※OPERATE命令とはISaGRAF Ver.3.XXで提供されている機能で、実装はハードウェアベンダやインテグレータによりI/Oドライバに対して行われます。この機能もISaGRAF Ver.4/5では廃止されました。このため、OPERATE命令の実装自体は通常、インテグレータによってVer.4/5用に修正されます。ISaGRAF Ver.4/5のアプリケーション側ではOPERATE命令を使用している部分を削除し、代りにインテグレータから提供されるISaGRAF Ver.4/5用のC言語変換ファンクションを使用する等の変更が必要です。

名前が変わったファンクション
    型変換のファンクションの名前が変わりました。
    • BOO → ANY_TO_BOOLANA → ANY_TO_DINTREAL →
       ANY_TO_REALTMR → ANY_TO_TIMEMSG → ANY_TO_STRING
これらはISaGRAF Ver.4未満のプロジェクトをISaGRAF Ver.4/5に移行時に自動的に変換されます。(IACツール)

変換ツールの制限事項

ISaGRAF Ver.4/5のバージョンによって、変換ツールの仕様に多少違いがあります。

変数型の変換
自動的に以下のように型が変換されます。

ISaGRAF Ver.3.XX
ISaGRAF Ver.4/5
ブール型(Boolean)
BOOL
整数型(Analog(integer))
DINT
実数型(Analog(real))
REAL
タイマ型(Timer)
TIME
可変長文字列型(Message)
STRING

定義ワードの扱い
    変換ツールはグローバルな定義ワードのみ使えます。ローカルな定義ワードについては考慮していません。

I/O接続エディタ
    自動変換されません。I/O接続は手動でやり直す必要があります。
変換テーブル
    ISaGRAF Ver.3.XXの変換テーブルはVer.4/5ではサポートされません。プロジェクトをVer.4/5へ移行してから、I/Oチャネルの設定をしなおす必要があります。ISaGRAFの変換テーブルは通常一次変換に使われることが多いのですが、ISaGRAF ver.4/5で各チャンネル毎に設定するゲイン/オフセット機能で代用できます。
C言語変換関数
    自動変換されません。変換関数をISaGRAF Ver.4/5にインポートした後、手動でI/O接続ツールから変換関数の設定をやりなおす必要があります。

ライブラリのIEC言語のファンクション類
    ライブラリ内のものは自動的にインポートされません。
    ISaGRAF Ver.4.03ではプロジェクトの移行前にあらかじめにライブラリ内のIEC言語のファンクション類をISaGRAFのプロジェクトにインポートしておいてください。
    ISaGRAF Ver.4.10のコンバートツール(IAC)では、プロジェクトのインポート時にライブラリのファンクション類をインポートするかしないかを選択できます。
    ただし、これらのファンクション類はインポートされたプロジェクトと同じリソースに配置されます。
ライブラリのC言語の要素(I/Oボード、C言語ファンクション/ファンクションブロック/変換関数)
    下記の手順で移行してください。
      1. TDbuildツールを起動します。
      2. "Tools"-"Import ISaGRAF 3.3 library" メニューでライブラリをとりこみます。
      3. ver.4/5のワークベンチデータベースでインポートするための定義ファイルを作成します。
      4. ISaGRAF Ver.4/5ワークベンチの「ファイル」-「インポート」-「PLC定義」コマンドを使用してVer.4/5のプロジェクトデータベースに登録します。

    詳細はISaGRAF Ver.4/5のターゲットユーザガイドおよびTDBuildのマニュアルをご覧下さい。
SFCマクロステップ
    マクロステップはISaGRAF Ver.4/5ではサポートされていません。通常のステップに置きかえられます。
    通常、そのままコード生成を行うとエラーになります。
    Ver.4/5へアプリケーション移行後にSFCメインチャートとマクロステップ間に手動でリンクを挿入してください。
SFCのステップの参照(GSnnn(ProgName).XとGSnnn(ProgName).T)
    これはISaGRAF Ver.3.XXで、外のSFCプログラムのステップの状態を参照する場合に使用されるステートメントです。ISaGRAF Ver.3.XXでは、コード生成時に「IECに準拠していません」という警告が出ます。
    ISaGRAF Ver.4/5ではこのステートメントをサポートしていません。同等の機能を実現する場合はグローバル変数をSFCプログラム内で変更し、これを外部プログラムから参照するようにプログラムします。
*TDBUILD.exe(Target definition builder)について
ISaGRAF Ver.4.03 から提供されているTDBuild(Target Definition Builder)を使用すると、ISaGRAFのライブラリに登録されているC言語ファンクションやファンクションブロックをPROへインポートするファイルを自動的に生成してくれます。
生成されたファイルをVer.4/5のプロジェクトにインポートすると、プロジェクトデータベースに対応するC言語エレメントの定義をMS Access や PLCTools.mdb を使用せずに行うことができます。
更にこのツールを使用すると、ISaGRAF Ver.4/5ターゲットフォーマットのC言語ファイルのテンプレートを生成することができます。そのファイルをコンパイル/リンクして、Ver.4/5のターゲットに実装を行うことができます。
TDBuildはワークベンチのインストールフォルダの "Bin" にあります。
最終更新:
2008-07-30 15:56
改訂:
1.0
評価点数:0 (0 件の投票)
Chuck Norris has counted to infinity. Twice.

このカテゴリー内のレコード

タグ